輸入住宅の魅力

食事のひと時をより豊かに彩る「カトラリー」にこだわってみる

カトラリー

輸入住宅での暮らしを彩るものは、いわゆる“器”である住宅(建築物)の意匠だけではありません。インテリアやファブリック、オブジェや雑貨に至るまで、さまざまなものがバランスよく混ざり合い、暮らしを豊かにしていきます。

そんなものの一つに、食事の時間をより素敵に輝かせてくれる食器やカトラリーがあります。今回は「カトラリー(食卓用のナイフ、フォーク、スプーンなどの総称)」について、その歴史や知識をお伝えしていきたいと思います。これを知ればカトラリーに対する興味や見方も深まることでしょうし、アンティークショップや蚤の市で、より素敵でお気に入りの逸品に出会える可能性が高くなるかも知れません。

中世以前のヨーロッパでは、王侯貴族さえも個人でナイフやフォークを使うことはなく、手掴みで食事をしていました。王侯貴族は親指、人差し指、中指の3本で、庶民は5本の指で掴むという差はあったものの、“指は神様から与えられた優れた道具である”と教えられていたのです。12世紀に入っても水分の多いものはスプーンを使用しましたが、フォークは装飾品の一部。ナイフは肉などを切り分けるためにあり、個人用ではなかったそうです。

その後、ヨーロッパでも徐々にテーブルマナーが確立していきます。カトラリーが個人用として広く用いられるようになったのは、15世紀だと言われています。当時のヨーロッパで文化的に最先端だったイタリアのメディチ家から、フランス王家に嫁いだカトリーヌに帯同したイタリア人料理人がまとめた「食事作法の50則」という書籍が広まり、個人でカトラリーを使用する食事スタイルに変わっていったのです。

カトラリーや食器に「銀」が用いられたのは、王位継承を巡って毒殺が横行したため。当時は毒にヒ素が使われることが多く、銀はそれに触れると黒く変色する性質があるため、採用されたそうです。また、銀のカトラリーは富の象徴とされ、人々は専用の箱に収め、宴席には持参しました。19世紀に入ると各家庭にも銀のカトラリーを常備するようになり、招く側が用意することが常識となっていきます。当時は12人着席のディナーテーブルが基本だったため、カトラリーを含めた食器のセットは12個単位。アンティークショップや蚤の市で、12個セットの古い年代のものがあれば、かなり貴重な品だと言えるでしょう。

ちなみにカトラリーを見分けるときに参考になるのは、大きさや文様、刻印など。北欧やドイツは大ぶりのもの、フランスやイギリス、イタリアはやや小ぶりだそう。刻印にはそれぞれ意味があり、多くの国でスタンダードとなっている「スターリングシルバー制度(銀の含有率92.5パーセント等」を表わすものや、年代を示す刻印などがあり、それら知識を身につけておけばアンティーク銀製品を購入する時に役立ちます。

カトラリーは嫁入り道具の一つとなり、高級な銀器には持ち主のイニシャルが刻まれたそう。なぜかフォークだけは国によってイニシャルを刻む位置が異なり、フランスではフォークの裏面に、イギリスではフォークの表面に刻印されました。そのことからセッティングの際には、フランス式はフォークの歯を伏せるように、イギリス式では歯が上向きになるように置くようになったそうです。

素敵な住まい、暮らしに似合う銀製品、カトラリーを揃えてみてはいかがでしょう。きっと日々の食事だけでなく、ゲストをお招きした際も、その時間が美しく輝くはずです。