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大正時代の憧れの暮らしを知る、「田園調布の家(大川邸)」

田園調布の家(大川邸)

東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」。ここには日本におけるさまざまな歴史的建造物が残されており、西洋スタイルの家はもちろんのこと、昔ながらの懐かしい日本家屋も見られ、とても勉強になる博物館です。建築が好きな人にとっては、一日たっぷりと楽しめるスポットですので、ぜひ訪れてはいかがでしょう。数ある建築物の中から、今回ご紹介するのは「田園調布の家(大川邸)」。コンパクトながら、暮らしの心地よさ、楽しさを追求した設計、さらに大正ロマンを感じさせる美しい意匠は、これから住まいづくりをする方にとって参考になることと思います。

「田園調布の家(大川邸)」は、大正14年(1925年)に、郊外住宅地の一つであった大田区田園調布に建てられた家です。リビングを中心に食堂、寝室、書斎がレイアウトされ、当時としては珍しい、全室洋間となっています。時代を振り返ってみると、明治からの近代化が進み、後期から大正にかけては軽井沢をはじめとする別荘地が開発されるなど、“暮らしの西洋化”が一気に花開いた時期。そんな中、これからの住まいのカタチとして提案されたのが「田園調布の家(大川邸)」。家は単に夜露をしのぐ場所ではなく、“心地よさ”“楽しさ”を手にする空間であることを唱えています。

たとえば住まいを構成する各々の空間ゾーニング。居室をスライドさせて設計することで、どの部屋にも自然光が流れ込みやすくしています。特に目を引くのがリビングの位置。東南にあり、日中たっぷりと陽の光に包まれる心地いい空間に仕上げられているのです。このことは今では当たり前なのですが、大正・明治以前の日本の家において、一番心地いい場所は「客間」。そんなおもてなし文化はとても素敵なことですが、「自分たち家族が快適に暮らそう」という新しい発想が、この「田園調布の家(大川邸)」に込められています。

またキッチンも特筆すべきです。最新の調理機器が採用され、「家事をラクにする」という提案がなされています。またキッチンと食堂を隔てる食器棚(壁)には扉が付いており、配膳(家事動線)の利便性、そしてキッチンに居ながらにして家族の顔が見られる「楽しさ」にも配慮された設計となっているのです。「田園調布の家(大川邸)」は、まさに当時の“憧れの住まい”だったのです。

照明や窓の設え、モールディングなどにも、古き良きモダニズムが感じられ、きっとあなたの感性を刺激することでしょう。全体的にコンパクトな住まいというのも、限られた敷地条件の中で建てることが多い私たちにとって、とても参考になるポイントです。「田園調布の家(大川邸)」に、ぜひ一度、足を運んでみてください。

江戸東京たてもの園
〒184-0005 東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)
042-388-3300(代表)