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象徴的な構造・装飾を含め、建物全体の秩序あるリズムを楽しむゴシック建築

ウィーン シュテファン大聖堂

ウィーン シュテファン大聖堂

よく耳にする言葉シリーズ。今回は「ゴシック建築」です。ゴシック建築とは、12世紀後半から栄えたフランスを発祥とする建築様式のこと。「ゴシック」とは、もともと蔑称だそうで、15世紀から16世紀にかけてルネサンス前の中世の芸術を蔑む言い方として「ドイツ風の」や「ゴート風の」と呼んだことから由来しています。ルネサンス以降は、ゴシック建築は顧みられなくなりますが、とはいえその伝統様式は生き続け、18世紀になると構造力学的観点を中心に合理的な構造・建築物であると再評価されます。18世紀から19世紀にかけてのゴシック・リバイバルでは、芸術家をはじめとする多くの著名人から称賛されました。

サン=ドニ大修道院教会堂

パリ サン=ドニ大修道院教会堂

イギリスやイタリア北部・中部、ドイツのライン川流域、ポーランドのバルト海沿岸及びヴィスワ川などの広範囲に広がっていったゴシック建築ですが、初期の建物として知られるのは、パリ近郊のサン=ドニ(聖ドニ)大修道院教会堂(一部)だそうです。後期ロマネスク建築のいくつかの要素を受け継ぎ、サン=ドニ大修道院教会堂においてそれらは組み込まれ、見事に表現されました。これに倣い12世紀半ばには、さまざまな地方で大規模かつ壮麗な聖堂が建てられていきます。

リヴ・ヴォールト

リヴ・ヴォールト

尖ったアーチ(尖頭アーチ)、飛び梁、リブ・ヴォールト(教会や大聖堂の身廊のような建物の大きな内部空間を覆うために使用される建築上の特徴。ヴォールトとはアーチを平行に押し出した形状(かまぼこ型)を特徴とする天井様式および建築構造の総称)などがゴシック建築の代表的な構造・意匠ではありますが、それらはあくまでも一部であり、ゴシック建築の本質は建物全体の美的効果にあります。部分、部分を見るのではなく、建物全体の秩序あるリズム、調和を楽しむ(評価する)ものだと言われています。

パリ ノートルダム大聖堂

パリ ノートルダム大聖堂

ゴシック建築の装飾に関してですが、中世の人々にとっては事物のすべてに象徴的な意味があり、ゴシック教会を彩る装飾は、聖職者たちの世界に対する理解・思いだったそう。美しさは神の創造と同じであると考え、教会を装飾することを神への奉仕と捉えていたようです。前述の通り、ヨーロッパ各地に広がったゴシック建築は、今も現存しているものもあります。特に発祥の地であるフランスには、サン=ドニ大修道院教会堂のほか、パリのノートルダム大聖堂、シャルトル大聖堂、ストラスブール大聖堂など数多く残っていますし、フランスと並びゴシック建築が栄えたイギリスにもカンタベリー大聖堂、ウェストミンスター寺院、ソールズベリー大聖堂などが残されています。ドイツ、イタリアなどにも残されていますので、ヨーロッパ旅行の際は訪れてみてはいかがでしょう。