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ドイツで生まれたヨーロッパ初の白磁器。世界の憧れとなったマイセン

マイセンの紅茶カップ 出典:Wikimedia Commons

海外ブランドの憧れの陶磁器と聞いて思い浮かぶものの一つに、マイセンが挙げられると思います。透き通るような白磁に美しい絵付けが施され、世界中でたいへんな人気を誇ります。今回は、そんなマイセンの成り立ちなどをお伝えしたいと思います。

マイセンは、ドイツのマイセン地方で生産される磁器の呼称です。メーカー名ということではなく、日本でいうところの有田焼、備前焼といったようなもの。その人気・評価は高く、西洋白磁の頂点と言っても過言ではありません。白磁はもともと東洋のもので、17世紀頃の西洋社会では憧れの芸術品でした。当時は同じようなものを作ろうと思っても、原料であるカオリンがヨーロッパでは発見されなかったのです。ちなみにカオリンという名は、中国の有名な粘土産地である江西省景徳鎮付近の高嶺(カオリン)に由来するそうです。つまり、ヨーロッパで流行したものははるばる中国や日本からやってきた輸入品で、当然ながら高嶺の花。貴族や上流社会の人々が、競い合うように買い求めました。

そんなたいそうな人気の品ですから、「ヨーロッパで作ろう」という機運が高まるのも当然のこと。錬金術師を幽閉して白磁を作るように命令するなど、今考えると少し常軌を逸したものでもあったようです。しかし、1709年にドイツのゼクセン・フォークラント地方のアウエ鉱山のカオリンを原料とし、白磁の製造に成功。西洋磁器の歴史が始まりました。
1710年にはドレスデンに「王立ザクセン磁器工場」が設立されます。これが現在の「国立マイセン磁器製作所」の始まりでした。初期のマイセンは、中国の五彩磁器や日本の伊万里焼に影響を受けていますが、1720年にはウィーンから絵付師を招き、ロココ調の作品が主流となっていきます。1764年には芸術学校が創設され、4年間の専門的な訓練を課し、多くの卒業生がマイセン磁器製作を支えていくことになります。こうやって伝統技能は伝承されていくのですね。一子相伝も素敵ですが、体系的に技法を学び、残していくという姿勢は、とても素晴らしと思います。ちなみにマイセンにおける磁器製造法は極秘中の極秘とされますが、やがてドイツの職人がフランスに招聘され、その後、ヨーロッパじゅうに広がっていったそうです。

マイセンのトレードマークは、交差した2本の剣。これは贋作を防止するためのものです。刃や鍔の傾きによって年代が分かるそうですが、かなり専門的になりますのでここでの解説は省略します。興味のある方は専門書を探してみてください。それは必ずや、以前の記事でもご紹介した「蚤の市」で役に立つことでしょう。マイセンの代表的な図案には、「ブルーオニオン」「ブルーオーキッド」「インドの華」「柿右衛門」「ドラゴン」「ドイツの華」「サルの楽団」などがあります。「柿右衛門」はその名の通り、日本の有名な絵付けを模したもの。「ブルーオニオン」は、東洋磁気が西洋に伝わった時、絵柄のザクロに馴染みがなかった西洋人が玉ねぎと勘違いして作図されたそう。今にはない西洋・東洋の距離の長さが感じられますね。このようなさまざまなエピソードに包まれた世界の逸品を、あなたも一ついかがでしょう。