ヨーロピアン

イタリアネイト様式

イタリアネイト様式
イタリアネイト様式、クィーン・アン様式を解説するにあたり、1840~1900にかけて発展したピクチャレスク様式をご紹介しましょう。建築と景観デザインの19世紀哲学の表現運動として、ピクチャレスク(絵画的)様式運動が起こります。これは、人間と建築と自然との調和と、統合の必要性を強調する芸術家によって描かれた風景絵画から導き出されたものです。

この時代における代表的な人物の一人が、ウィリアム・モリス。彼が提唱したアーツ・アンド・クラフツ運動(産業革命の結果として生まれた大量生産品ではなく、中世の手仕事に回帰し、生活と芸術を統一することを主張した運動)の取り組みの一つとして誕生させた(フィリップ・ウェッブに依頼)レッドハウスは、「新しい工業文化を具現した最初の個人住宅、住宅の内部も外部も、全体が統一的に意識され建設された最初の住宅、現代住宅の歴史の中で最も最初の事例」との高い評価を得ています。

このような時代・運動によって生まれ・磨かれたピクチャレスク様式には、スイス・コテージ様式、イタリアン・ヴィラ(別荘)様式、イタリアネイト(イタリア風)様式、クィーン・アン様式などがあります。

 

イタリアネイト(イタリア風)様式(1845~1875年)

イタリア風の建築とは、基本的に古代ローマのデザインをモチーフにしたもの。ロマネスク(ローマ風)様式の基本となるドーム、アーチのデザインモチーフが建築物の中心となっており、それはアーチフードのある窓のデザインなどとして現れています。

イタリアネイト様式イタリアネイト様式は、2~3階建の住宅で、緩勾配の寄棟造り(時には切妻)です。アンブレラ(雨傘)の大屋根建築のように、建築物全体を覆う形で大屋根が設けられ、その庇が装飾された化粧腕木(ブラケット)によって大きく突き出しています。

ダブルハング・ウィンドウは一枚ガラスのサッシで、窓上部にはアーチフードの飾りがあしらわれています。玄関扉は2枚扉となっており、その前に配されたポーチコは、柱頭飾りのある柱に支持されています。アメリカ東部はヨーロッパに比べ、雨が強く降るという気候特色があるため、玄関にもポーチコが設けられるようになりました。

屋根の上にキューポラ(ドーム型の小塔)やランタン(頂塔)を設け、屋根裏は軒下の腕木の間にオーニング・ウィンドウ(突き出し窓)を並べ、そこに屋根裏部屋(ベッドルーム)を設けたり、夏季には室内を涼しくするためにキューポラを通して風を取り入れる(換気)構造的工夫がなされています。